大阪の気象特性
自然災害に備えるためには,まず地域の特性について知ることが大切です。
自然災害の規模は,その引き金になる自然現象そのものの勢力によって変わりますが,地域を分けてみると,被害の大きい地域と被害の小さい地域が隣り合わせになる場合もあります。
災害の規模を決める要因のひとつは地形です。そこが平地なのか川沿いなのか山地なのかといったことが,起こり得る災害に関係します。
また,自然的な特性だけでなく,社会的な特性も影響する場合があります。地域間の連携があるかどうかなどの特性です。
ここには主に大阪府の気象特性について記載していきますが,自身の生活している所がどのような特性を持っているのかについては,もっと細かな地域特性を知っておくようにして下さい。
大阪の特性
大阪の地形と気候
大阪府とその周辺のようす (Kashmir3D: DAN杉本氏開発を用いて作成しました)
大阪府は,北・東・南を山地に囲まれています(北に丹波高地,東に生駒山地・金剛山地,南に和泉山脈)。そして,西には海(大阪湾)が広がっています。大阪府の最高標高は1056mで,金剛山中腹の地点です。最低標高の記録は見かけませんが,大阪市内に平均海面下2.21m (海抜-2.21m) の地点があります。
大阪府の気候は瀬戸内海式気候に分類され,年間を通して天気が安定している傾向にあります。降水量は梅雨時期と9月頃(秋台風の頃)に多くなりますが,平気的な降水量は少なめであるという特徴があります。
夏季に雨(しゅう雨)が降りやすいのは山沿いの地域です. 六甲山〜裏六甲界隈で発生した積乱雲が北部に流れて来ることがあります. 河内地方や泉州地方でも山沿いの地域でも急な雨が降る場合があります.
冬季に雨や雪が降りやすいのは,北部の能勢町〜豊能町付近です. 北西の季節風に乗って兵庫県北部から流れてくる雪雲が到達して雪を降らせます.
ところで,予測が難しいのは大阪湾で急に発生する雨雲です. 夏のように陽射しで気温が上がって海風が吹くと,雲の源になる水蒸気が陸地にたくさん運ばれることになりますので,雨雲が発生しやすくなりますが,山沿いではなく平地に発生する場合があります. 強い上昇気流の発生する原因がはっきりしないため,厄介ものです.
参考:国土交通省国土地理院 大阪府の主な山岳標高
気象官署とアメダス地点
気温と降水量
気温と降水量とを一枚のグラフに表したものを雨温図 (Hythergraph) と呼びます.
大阪府内の気象官署・アメダス観測地点の雨温図は以下のようになっています.
気象特性を見る場合の参考にして下さい.
大阪関空島
能勢枚方豊中
生駒山堺熊取
河内長野
- ■は降水量 (mm) で左縦軸に対応,ーは平均気温 (℃) で右縦軸に対応します.
- 平年値算出期間は1981年〜2010年の30年間です.
- ただし,関空島の平年値算出期間は2003年〜2010年の8年間です.
- 河内長野は降水量のみ観測しています.
- このほか,気象官署には八尾,アメダス観測地点には箕面と茨木がありますが,統計期間不足等により平年値が算出されません.
風
ある期間における風向・風速の出現頻度を表す図を風配図 (Wind Rose) といいます.
その地点の風の傾向 (卓越風向・風速) を明らかにするために作成されます.
ここでは関空島と熊取の風配図 (風向のみ) を示します.
他の地点についてはデータ整理に時間がかかっていますので,順次掲載します.
関空島は大阪湾内で標高5m,熊取は関空島から10kmほど内陸にあって標高68mです.
2地点間はわずかな距離のようですが,最多風向には大きな違いがあります.
関空島熊取
- 統計期間は1981年〜2010年の30年間 (関空島は2003年〜2010年の8年間) です.
- ■は12〜2月,■は3〜5月,■は6〜8月,■は9〜11月を表します.
- 日最多風向を用いて作成していますので正確性に欠けますが,傾向はよく現れています.
- 空港の滑走路は,卓越風向の方向に造られます. 関西国際空港の滑走路は『06R/24L』および『06L/24L』です. これは磁北から60度ー240度の方向に滑走路が延びていることを示します. 磁北は真北 (観測風向の基準) から西に7度傾いていますので,真北からは53度ー233度の方向になります.
参考:関西航空地方気象台
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